中古住宅|フローリング リフォームの概要|貼り替え・その他の改善方法

「フローリングを貼り替えたい。」「もう少しきれいにしたい。」「目立つ傷をなんとかしたい。」など、中古物件を購入されて、フローリングの改善を希望する方が少なくありません。
現況のフローリングを状態や予算に合わせた最適な改善方法は色々あります。古いものを撤去し貼り替える全面貼り替えからハウスクリーニングのオプション作業で出来る簡易な改善方法に至るまで、その詳細を説明いたします。

全面貼り替え

フローリングの劣化やダメージが全体的にあり、他に手立てが無いような状態の場合は、全面の貼り替え工事が懸命です。また状態はそれほど悪くはないが、新しい床で雰囲気を変えたいと言う方も、同様です。様々な種類のフローリングの中から、好みの色柄を選ぶことができ、快適な空間に一新されます。

しかし費用については、他の改善方法に比べ、高額で工事期間も長く、このあたりがネックになり、計画を見送るケースも少なくありません。そこで、なぜお金や時間がかかるのか?ほかにいい方法はないのか?など、掘り下げていきます。

全面貼り替えが適している状態

  • 相対的に傷んでいる。
  • 色合いが好ましくない。
  • 日焼け・色あせ・敷物の跡がある。
  • ペット臭がする

古いフローリングを剥がすのが大仕事

貼り替え作業は、先ず巾木を取るなど準備作業をしてから既存フローリングの撤去を始めます。全て剥がし終わったら、下地に着いて固まった接着剤をキレイに除去し完了です。この後、フローリングを貼っていきますが、実はここまでの作業に全体の2/3の時間と労力を費やします。

その後剥がした残材を搬出し産業廃棄物として処理しますが、費用は安くはありません。その他、マンショの場合は、エントランスやエレベーターなど共有部分への養生を行う必要があります。そして騒音もかなり出ますので、工事時間の制約も受けます。全面貼り替えに費用と工期が嵩む理由が、このあたりにあります。

全面貼り替えに費用と工期が嵩む理由

  • 剥がすのに手間がかかる
  • 撤去残材に運搬費と処分費が発生
  • 共有部分の養生
  • 管理組合から工事時間の制約のを受ける

以上のように、費用と工期が嵩む理由は古いフローリングの剥がし作業にあることが分かります。それでは、剥がさずに新しいものを貼ることが出来ないか?と言う発想になります。次の章ではその辺りについて、説明いたします。

古い床の上に貼る、「重ね貼り」フローリング

既存フローリングを剥がさず、その上に新規を直接貼る方法があります。「重ね貼り」又は「直貼り」と言われ、専用の木質系フローリングが、メーカーにより製品化されています。これらはとても画期的な製品で、コストの軽減、工期短縮に繋がります。しかし施工にあたり、いくつかの制約やの使用条件があり注意が必要です。この後詳しく説明いたします。

重ね貼りフローリングは一般的には木質系のフローリングですが、素材が塩ビ系で、さらにコスト軽減につながる製品もありますのでその他の「重ね貼り」について、補足説明をいたします。

「重ね貼り」の使用条件

  1. 管理組合の許可(マンションの場合)
  2. 既存フローリングが柔らかいとNG
  3. 重ね貼りの厚さによる影響が少ない

1. 管理組合の許可(マンションの場合)

一戸建ては問題ありませんんが、マンションの場合、通常フローリングのリフォームでは管理組合の許可が必要です。使用するフローリングの遮音等級が規定以上の物を使わなければ、許可が出ません。ところが「直貼り」のフローリングは遮音性能がありません。ここがポイントで管理組合が許可を出すかどうか、申請をしなければ分かりません。

既存のフローリングは当然遮音性能は基準通りのはずです。剥がさずに上からから貼るので、新規の床材に遮音性能が無くても、数値的には変わらないところですが、管理組合の見解はどうか?と言うところです。実際、許可されなかった例があります。

2. 既存フローリングが柔らかいとNG

既存のフローリングが柔らかくクッション性があるものには、「重ね貼り」のフローリングは使用できません。歩行時に沈み込みが発生し、「重ね貼り」のジョイントに不具合が生じます。ベニヤ板など捨て張りを施せば良いのですが、コストが割高になるデメリットがあることや、次の項の厚みの加算による弊害を考慮しなければなりません。

3. 重ね貼りの厚さによる影響が少ない

「重ね貼り」のフローリングの厚みが増す分、ドアや物入れ床下収納庫など、取り合いの部分に及ぼす影響を考慮しなければなりません。ドアが擦れてしまう場合は、ドアの下を削り、床下収納庫は細工をする作業が発生します。一番厄介なのは、玄関周りで、上りカマチから「重ね貼り」の厚みが出てしまうので、いろいろ手を尽くさなければなりません。相対的に貼り替えより割安となりますが細工の箇所が多いとその差が詰まってきてしまいます。

Panasonic 6mmリフォームフロアーA

その他の「重ね貼り」について

木目調フロアタイル

フロアタイルは、既存の床板や造作した下地合板等に、接着材で直貼りする床材です。厚みは2〜3㎜と薄く素材は硬質の塩化ビニール。その特徴は性耐久性に優れ、施工性が良く高いコストパフォーマンスを発揮します。見た目の良さからはデザイン性も問題無く、近年人気の有る内装材です。

木目調長尺シート

長尺シートはクッションフロア、略して「CF」とも言われています。厚さ1.8mm~3.5mmの塩化ビニールの素材で作られるシート状の床材で手木目調などデザインのバリエーションも豊富な床材です。水を弾き手入れのしやすさやなどから、飲食店を始めとした店舗や病院などの他、一般住宅にも人気の床材です。

部分貼り替え

部分貼り替えとは、傷などダメージを受けたフローリングを単体で貼り替える工法のことを言います。使用される主なシーンは、部屋についた一二カ所の目立つ傷で、部屋全て貼り替えを避けるための、手段の一つです。(他の手段については次の章で説明します)この工法はリペアなど他の修善方法にに比べ完成度が高く、どこを直したかわからないほどの仕上がりになります。しかしそれなりに作業の難易度は高く、完成制度を上げるには一定の条件が必要となります。

作業の難易度が高い理由

通常フローリングは、表面からは見えませんが、中で凹凸が連結し形成されています。貼り替え作業は、先ず剥がす事から始めますが、これがすんなり行きません。輪郭に沿って凸を真上からカッターで決断し丁寧に剥ぎとらなければなりません。

次に新しい床材を切り取ったスペースに貼ります。あらかしめ凸をカットし不りく防止のためジョイントに細工を施し貼り付けます。この様に部分貼り替えの作業の難易度は高く手間もかかります。

完成度のための一定の条件とは

部分貼り替えは、同じ品番のフローリングを入手出来るかどうかが重要なポイントとなります。入手が可能であれば、ベストな仕上げになり最も有効な改善方法です。しかし廃盤などで同じものが手に入らない場合は近似柄の代替品を使用することになります。代替品の色合いが似ていれば、あまり気になりませんが、差がはっきりした場合、つぎはぎのような直し方になりかえって目立ちます。部分貼り替えの完成度は、貼り替えに使用する物により大きく異なります。

フローリングのリペア

フローリングリペアとは、キズ・劣化・変色のある箇所を、パテ・着色材などで補修する作業です。この作業のメリットは、全面貼り替えや部分貼り替えに比べ、大幅なコストダウンを計れる点や作業中の騒音や粉塵の心配がなく、速やかに作業が完了する点にあります。リペア作業はその内容により、「通常のリペア作業」と「高度なリペア作業」と2つのメニューがあります。それぞれの特徴について説明いたします。

リペアの種類

  1. 通常のリペア作業
  2. 高度なリペア作業

1. 通常のリペア作業

通常のリペア作業とは、一般的な傷や劣化をパテや着色材にて補修する作業です。仕上がり具合は、補修箇所を指摘すれば解る程度。通常クライアントの求める補修作業に適応した満足のいく完成度になります。リペア作業はコストは安く弊社ではハウスクリーニングのオプション作業として、さらに安価で提供しております。

2. 高度なリペア作業

高度なリペア作業とは、難易度が高く補修範囲も広いダメージ箇所をパテや着色材にて修復。完成度は高くクライアントの求めるイメージに相応しい状態に仕上げます。高度なリペア作業は専門の職人が行い、通常のリペア作業よりは割高価格となりますが、どこを直したかわからないほどのキレイな仕上りになり、費用対効果は抜群となります。

Before
After

高度なハウスクリーニング

フローリング改善策の最後は高度なハウスクリーニングです。一般のハウスクリーニングは床の汚れを落とし、ワックスで艶出しを行います。しかし特殊な汚れや、小さな傷や劣化などの改善は出来ません。そこをカバーするのが高度なハウスクリーニングです。

高度なハウスクリーニングの作業

  1. 特殊な汚れを落とす
  2. ダメージの処理を行う
  3. 特殊ワックスによるコーティング

1. 特殊な汚れを落とす

フローリングの汚れは、有機物系や化学物質系など様々です。有機物系は一般の汚れですので、通常のハウスクリーニング作業で落ちますが、化学物質系や染色汚れは除去出来ません。これらの汚れ除去に効果を発揮するのが高度なハウスクリーニングで、状況に合わせた作業を行います。

  • 古いワックスやその下にある汚れ:ワックス剥離剤により剥離洗浄
  • 油性ペイント系の汚れ:有機溶剤クリーナーにより除去
  • 粘着テープ系の跡:有機溶剤クリーナーにより除去
  • 黒ずみなどの染色:漂白系薬剤にて脱色
Before
After

2. ダメージの処理を行う

ダメージ処理作業は、ダメージの度合いにより可能な処理範囲があります。これを超えるものは、リペア作業やそれ以上の改善作業になりますが、少し手を加えるだけで、現況の問題が解決するケースが多々あります。

  • 小さな欠け・傷による表面塗料のハゲ:タッチアップによる着色補修
  • 黒ずみなど染色汚れ:脱色および着色
  • 小さめな劣化・ささくれ:研磨および着色
  • 大きめのささくれ:接着+充填材による補修
  • ジョイント等の隙間:充填材による補修
Before
After

3. 特殊ワックスによるコーティング

通常のハウスクリーニングでは一般的なアクリル樹脂ワックスを使用します。耐久年数は1年ほどで光沢度もあまり期待できません。フローリングの状態が良ければ問題ありませんが、ダメージや経年劣化の改善を求めるならば、スペックが足りません。ましてや上記のようなダメージ処理を行う場合はセットで特殊ワックスによるコーティングが必要となります。

  • ダメージの処理を行なった床:各種ハイスペックなワックス
  • 劣化気味な床を改善:各種ハイスペックなワックス
  • 現状より高光沢な床に改善:ハイグレードワックス
  • 現状より高光沢・高耐久な床に改善:各種コーティング